2冊目 西岡壱誠著:「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる東大作文⑤
6/24 西岡壱誠著:「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる東大作文⑤
前回は読者を「記者」にするための第一段階として、「一人ディベート」を解説した。
今回はその第二段階となる「質問トラップ」作りに触れていく。
読者を「記者」にするための2つのステップ 〜その2.質問トラップ〜
質問トラップづくりで「読者を引き込む文章」が書ける
読者に質問させたら勝ち
書き手の話に踏み込んでもらうために、有効な手段は何であろうか?
それは「質問」をさせることだ。
質問をする時、人はその内容に対して大きく前のめりになる。
「質問トラップ」とは、あえて相手からのツッコミを想定した文を作って質問させ、相手を一気に引き込むためのものなのだ。
では「質問トラップ」をどのようにして作れば良いのか。
ここから、「質問トラップ」を作るために欠かせない、「問いかけ作り」と「ポジション作り」について話していく。
読者との距離を縮める問いかけ作り
「問いかけ」は、話に入れない人を話に入れるためのファーストステップ
「問いかけ」作りのやり方
「問いかけ」作りは次の3ステップでできる。
- 「譲歩づくり」「インパクトづくり」の付箋を用意する。
- 文章のはじめと「譲歩」「インパクト文」を使うタイミングで、以下の「型」に当てはめて問いかけを作る。
- 400~500字に一度、問いかけが挟まっていればOK。
「 これって疑問に思ったことありませんか?」型
「 これって疑問に思ったことありませんか?」型
使用タイミング…最初
問いかけ例…「これって疑問に思ったことありませんか」
「こんな人多いんじゃないでしょうか」
作り方…自分の主張の対して問いかける、興味を持ってもらえるような質問にする
「相手の言葉を先回り」型
「相手の言葉を先回り」型
使用タイミング…「譲歩」「インパクト文」のあと
問いかけ例…「『それって〇〇なのでは?』と思った人もいるでしょう」
作り方…「ツッコミ」を『 』に入れればOK
「正解はどれ?」型
「正解はどれ?」型
使用タイミング…「譲歩」「インパクト文」のあと
問いかけ例…「次のうち、どちらが正解でしょうか?」
「皆さんはどちらを選びますか?」
作り方…「譲歩」「インパクト文」を正解の選択肢にして、「ツッコミ」を間違いの
選択肢にする
ポジション作りで読者に響く文章を書く
ここでいうポジションとは、読者から見た書き手の立ち位置のこと
立ち位置には、読者から見て「上」、「横」、「下」、「外」の4つがある。
それぞれに特徴や使われやすい場面があるが、最も深く話を聞いてもらうことができるのは「横」の関係だ。
ポジション作りのやり方
- 「主張」と「目的」の付箋を取り出す。
- 自分が、「上」、「横」、「下」、「外」のうちどのポジションにいるのかを考える。
それぞれのよく使われる場面は以下の通り。
「上」…論文・専門知識の多いプレゼン等
「横」…メール、チャット、議事録等
「下」…提案書、質問票等
「外」…レポート、ブログ等
この4つのうちから一つを選んだら、次の行動は選んだものによって変わる。
「上」…「横」に立てる経験を探して、書いてみる
「横」…自分の「主張に対する思い」を書く
「下」…自分が「下」だと表明した上で、「主張に対する自分の思いを書く」
「外」…「上」、「横」、「下」のどれかに自分の立ち位置を定めてみる。
→定めた先に移動
最も良いポジションは対等。
上からの頭ごなし、下からの言葉は入りづらい
読者に対する自分の立ち位置を明らかにし、最終的には「横」を目指す。
以上のやり方で読者の意識を書き手に近づけさせることができれば、
読者が書き手の話を聞いてくれる確率は飛躍的に上がる。